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2007年公演。中村照夫「AWARENESS」の必要を語るインタビュー。

J-Wave 『JAM THE WORLD CUTTING EDGE』出演の模様 (mp.3形式|10分19秒|10MB)
 (音源提供:J-Wave)
※クリックすると別ウィンドウで開きます。 (ご利用環境により、WindowsMediaPlayerやQuickTime、iTunesなどが立ち上がり再生されます。)
→J-Wave 『JAM THE WORLD CUTTING EDGE』のサイトへ


あなたはなにも知らない

「HIV/AIDSはいま、コントロール可能な疾病になっている」というのは真っ赤なウソです。HIVに感染した人で、治った人はいません。ではいま、どうしてエイズに関してかつてより気楽な言い方がされているのか? じつは、世界じゅうの専門家のだれ一人としてそんなお気楽なことなどひと言も言ってはいないのです。それをお気楽に受け取っているのは、ひとえに受け取っているほうに決定的な誤解と間違いとがあるのです。

「カクテル療法は?」という質問をする人もいるでしょう。それはHIVが体内で増殖するのを防ぐ薬の組み合わせ法です。増殖を防ぐ、と言いましたが、HIVを体内から駆逐する、壊滅させる方法はまだありません。つまりすべてはHIVをいかに飼い殺すかという延命医療でしかないのです。

そして、そんな延命医療で何が困るのか、知っていますか? HIVの薬はものすごく強い一種の毒で、じつは副作用が大変です。代謝機能にイタズラするものが多く、長期服薬で膵臓や腎臓の機能に異常が起きたり(つまり糖尿病や腎臓病症状になります)、脂肪代謝異常が起きたりします(異常な脂肪が体の変なところに異常に貯まります)。他にも中性脂肪がうんと増えたり、乳酸アシドーシスという疲労物質が体内にどんどん蓄積されていって最後には身体が動かなくなったり、肝臓がボロボロになったりする人もいます。これはエイズではなく、エイズを抑える薬のせいで起こる症状です。それでさえもこんなに辛い。

その悲惨を、日本ではだれもいま広報していません。報道もない。学校で教えてもくれません。それで、エイズがなんだかコントロール可能な病気に成り下がったというような間違ったイメージだけが一人歩きしている。どうしてでしょう。どう考えても理由がわかりません。そんな中で、政府は福祉政策からエイズ対策予算を減らしています。これもほんとうにわからない。日本は、世界の先進国で唯一、HIV感染者が増え続けている(!)国なのに、日本の政府は寿司ポリスみたいなお気楽なお遊び制度に3億円近い予算を振り分けようとしたりする。まったく。

あなたはエイズとHIVという単語の意味を正確に知っていますか?

日本でいまどのくらいの人がHIVに感染しているか知っていますか?

同性同士のセックスよりも、異性間のセックスの感染数増加率の方が高いって知っていましたか?

あなたのセックスの相手がこれまでどんな人とセックスしてきたのか、そのすべての相手を知っていますか?

絶対に絶対にHIVに感染したくないなら、いっさいのセックスを諦めるしか方法がないことは知っていますか?

もし1つでも上の質問の答を知らないなら、あなたのエイズ危機はあなたのすぐそばまで来ています。そして、そんなエイズ危機が迫っているのに、あなたはどこに何を訊いてよいか、それも知らないでいるのです。

エイズ予防財団のHPは次のとおりです。
http://www.jfap.or.jp/

同財団の無料エイズ相談は
0120-177-812
携帯からは
03-5259-1815

エイズについてもっと知りたければ「エイズ予防情報ネット」のHPへ
http://api-net.jfap.or.jp/

すべては自分で調べるしか、自分と愛するひとをまもる方法はありません。

ニューヨークJAWS(Japanese AIDS Workshop Series)
世話人 北丸雄二


HIV/AIDSについて知ろう

学校や本を通して、『エイズ』という言葉を皆さんご存知のことでしょう。
しかし、そもそもHIV/AIDSとは何なのでしょう?エイズについて少しだけ知り、考えてみましょう。

エイズとは?

ヒト免疫不全ウイルス、通称HIV(Human Immunodeficiency Virus)がヒトに感染することで、病原体への抵抗力を低下させてしまいます。HIVによる感染によって免疫力が低下し、結核や肺炎などの様々な症状の総称を後天性免疫不全症候群すなわちAIDS(Acquired Immune Deficiency Syndrome)といいます。HIVに感染したからといってすぐにエイズを発症するわけではありません。

世界、そして日本の現状

現在の世界のHIV/AIDSの流行現状は以下の通りです。あなたはこの事実をどう受け止めますか。

世界のHIV/AIDS流行状況 2006年末現在

HIV 感染者数・HIV感染者報告の累計数 (2006 年末現在)
合計 3,950 万人
成人 3,720 万人
子供  230万人

感染者とはHIV感染が確認されるが症状が出ていない者、患者とはHIV感染により発症している者をさします。

2006 年における新規HIV 感染者数
合計 430 万人
成人 380 万人
子供  53 万人

推計値は入手可能な最良のデータを基にして算出された

2006 年におけるAIDS による死亡者数
合計 290万人
成人 260 万人
子供  38 万人

子供とは15 歳未満をさす

※UNAIDS/WHO 日本のHIV感染者、AIDS患者累計数(厚生労働省)調べ

●父母を無くした子供たち そしてこの子たちもまた...

エイズは主に南アフリカ共和国、ジンバブエ、ボツワナといったアフリカ南部地域で深刻な問題になっています。この地域は国民全体に教育が行き届いていないため、知識が乏しく、さらに十分な治療が受けられないことから、エイズのみならず多種な病気の増加も深刻です。アフリカの内陸部に位置するジンバブエ共和国では、子供の4人に1人がHIVに感染しており、国民の平均寿命はわずか36歳です。これが紛れもない事実なのです。

●見過ごされてきたアジア、悲劇の現状

インドではアフリカの国々と比べると比較的に感染率が低かったことから、今までHIV感染は見過ごされてきました。しかしその結果、現在、インドは世界最大の感染者・患者数を抱える国となってしまったのです。さらに、中国では『1992年から2006年末現在、市内のエイズ感染報告数は年間で58.3%のスピードで増加し、死亡者は70名に達した。』(新華通信社)と報告されました。世界最大の人口を誇るこの二つの国。日本にとって交流の深いアジア諸国。問題は深刻です。

先進国で唯一、患者が激増する日本

エイズは外国の病気だと思っていませんか?日本は先進国で唯一HIV感染者が増えている国です。高度な教育をうけているにも関わらず、エイズに不注意なあまり患者数が激増する日本。これは大変に深刻な問題です。また、教育をうけていても性についてオープンにしづらい環境にある日本では、日常的話題にもちあがりにくいことも現実です。以前のようにメディアにも取り上げられなくなってしまいましたが、日本にとってエイズの問題は他人事ではないのです。

また、みなさんは、HIV感染は同性愛者内での性的接触によって引き起こされる、という考えがあるかもしれません。しかし次の図を見ても分かるように2006年の統計によると異性間での性的接触による感染、発症が多いことがわかります。それでもあなたは『自分には関係ない』と言えますか?

厚生労働省エイズ動向委員会

自分が出来ることは?

(1) 知る・関心をもつ

まずはエイズについて正しい知識・理解をもつことが大切です。正しい知識が行き渡ってないがゆえに、感染が増加し、感染者として偏見に苦しむ人たちがいます。最近ではインターネットでも信頼性のある情報が簡単に検索できます。

(2) 行動する

●検査を受ける
HIV公的検査機関で、無料・匿名のHIV検査・相談を受け付けています。

●コンドームを使用する
性行為にあたってコンドームを使用することで感染を防ぐことができます。自分、そしてパートナーの命についてよく考え、話し合い、正しい用法でコンドームを使用しましょう。

(3)参加する

●イベントに参加しよう
12月1日の世界エイズデーにちなんで、各地で様々なイベントやキャンペーンが行われます。エイズについて知る機会です。そして世界のエイズ患者への支援など様々な方法がありますので、自分にできる方法でエイズと向き合ってください。

●信頼ある団体で支援・募金をしよう
イベントやキャンペーンでは募金や支援活動も行えます。少しの募金や支援により、常にAIDS感染の危機にさらされている世界の人々に予防薬を投与することができたり、さらに感染者は治療薬である抗レトロウイルス薬の服用が可能になり長く生きることができるのです。

(4)発信する

エイズはあなた1人の問題ではありません。このコンサートを通して、または他のイベント、キャンペーン、自ら学んだことをお友達、家族、大切な人に話してみましょう。あなたの一声がみなの意識をかえるかもしれません。

エイズについて正しい知識と理解を

■HIV感染は3つのルート

HIVは通常の生活では感染するものではありません。
感染ルートとしては、(1)母子感染、(2)性的感染、(3)血液感染の3つです。

■すぐに発症しないエイズ

HIVは感染してもすぐに症状に現れにくいので、自分がHIVに感染したことを気づかず生活しているケースが多いのも現状です。そのため、10年以上も感染に気づかずに進行し、免疫力の低下によって肺炎などの病気を引き起こしてしまいます。自分、そして自分の大切な人のからだ、そしてエイズについてしっかり見直してみましょう。

■もし感染してしまったら・・・

現在では、薬物投与によって発症を大幅に遅らせることができるようになりました。完治できる治療法はいまだないものの、今後さらに研究が進めば、発症せず寿命まで生きられる時代が来るとも言われています。しかしその治療法が有効であるには、発症前の早期発見が重要です。また、発症していなくても性的感染には十分な注意が必要です。

(編集:MEDECINS DU MONDE(メデュサン・デュ・モンド/世界の医療団))

世界の医療団(メデゥサン・デュ・モンド)
フランスに本部を持つ『世界の医療団』貧しい国に医師を派遣してエイズを始め病気で苦しむ人達の援助をしている非営利団体です。MEDECINS DU MONDE www.mdm.or.jp


普遍的アクセスを目指して

世界の大きな動きと日常の生活の細々とした出来事は、切り離されて存在しているわけではなく、実は密接に関係しています。世界は私たちの内にあり、私たちもまた世界の大きな流れの中にいるということでしょうか。エイズについて取材を続けていると、とくにそのことを感じる機会が多くなります。

エイズという病気の最初の公式症例が報告されたのは1981年6月のことでした。それから20年が経過し、21世紀最初の年である2001年の6月には、ニューヨークの国連本部で「国連エイズ特別総会」が開かれました。一つの病気の流行をテーマに総会を開くなどということは、半世紀を超える国連の歴史の中でも初めてであり、国連の全加盟国が賛成して、エイズの流行の拡大に歯止めをかけ、縮小に転じるために協力していこうという約束(コミットメント宣言)を採択したことでも画期的な総会でした。

しかし、せっかくの約束も実行されなければ意味がありません。その点はどうなの、ということで、5年後の2006年には、同じくニューヨークの国連本部で、今度は国連エイズ対策レビュー総会が開かれました。コミットメント宣言から5年間、世界は何をやってきたかをレビュー(検証)する総会です。1回だって大変なことなのに、なんとエイズというたった一つの病気の流行に対し、国連は21世紀の最初の5年間に都合2回も総会を特別に開きました。こりゃあ、半端じゃないぞ、ということがお分かりいただけると思います。

国連だけではなく、G8サミット(主要8カ国首脳会議)でも、2000年の九州沖縄サミット以来、エイズをはじめとする地球規模の感染症対策が毎年、重要課題として取り上げられ、エイズに関しては予防、治療、ケア、支援の普遍的アクセスを2010年までに実現しようということがいま、世界の大きな目標になっています。えっ、普遍的アクセス?耳慣れない言葉なので簡単に説明しておきましょう。エイズの原因となるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染を予防するために必要な情報や手段、HIVに感染した人への治療とケア、そして、HIVに感染した人が安心して生活を続けていけるようにするための支援。そうしたサービスは、必要がある人なら誰でも利用できるようにしようというのが普遍的アクセスです。

説明するのは簡単ですが、実現させるとなると大変です。世界にはいま、1日の生活費が1ドル(100円ちょっと)に満たない人が12億人もいます。HIVに感染しても治療薬があれば長く生きていけるのに、貧しさのためにその薬が手に入らない人もたくさんいます。何とかその人たちにも薬を届けられるシステムを作らなければなりません。薬を安く買えるようにし、診療所を作り、場合によっては食糧も提供し、という気の遠くなる努力が必要です。

日本ではどうでしょうか。最近は格差が社会問題化しているとはいえ、貧しくて治療が受けられないということは基本的にはありません。HIVに感染していることが早期に分かれば、エイズの発症を防ぎ長く生きていくことが期待できます。しかも、検査は保健所で無料、匿名で受けることができます。それでも、新しくHIVに感染していることが分かる人の3割は、エイズを発症してはじめて感染を確認することができた人だということです。HIVの感染からエイズの発症に至る間には平均で10年の期間があると考えられています。つまり、発症して初めて感染がわかる人は、その10年の間、実は治療やケア、そして支援のアクセスから遠ざけられていたことになります。

もっと早く感染が分かっていたら、エイズの発症も治療で抑えられたかもしれません。その妨げとなったのは日本の場合、貧困ではなく、日本の社会の中にいまなお、根強く残るHIVに感染した人、および感染の高いリスクにさらされている人に対する差別や偏見、排除の意識です。つまり、差別や偏見の対象にされ、社会的に排除されるのではないかと不安になることが、感染を心配する人たちから、自らの感染の有無を確認する機会を奪ってしまっているのです。それは、HIVに感染している人が治療の機会を失うだけでなく、社会の中にエイズの流行に対する関心の低下をもたらすことで、日本の社会が予防の機会を日々、失い続けていることでもあります。

そうしたことがないように。少なくとも日本で治療の普遍的アクセスを妨げている壁は取り除き、そのことが同時にエイズの流行とのより困難でかつ勇敢な闘いを続ける途上国の人たちへの支援につながるようにしたい。本日のコンサートは中村照夫さんをはじめとするミュージシャンやスタッフ、そしてそれを応援するたくさんの方々の熱意によって実現しました。中村さんがニューヨークに住む日本人のエイズ対策グループJAWSと協力してエイズ対策への理解を呼びかけるコンサートを最初に開いたのは1996年のことでした。それからすでに10年を超える歳月が経過しています。この間の持続的な努力は並大抵のことでは維持できません。初期のJAWSの活動に携わった者として、改めてコンサートを継続してこられた皆さんに敬意を表したいと思います。

産経新聞編集委員 宮田一雄